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ミヤマ物語第三部 偽りの支配者

あさのあつこ「ミヤマ物語第三部 偽りの支配者」(毎日新聞社)を読んだ。
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毎日小学生新聞に連載されていた「ミヤマ物語」の第三巻。
 不登校で自殺しようとまで思いつめていた透流(とおる)は、クスノキに「雲儒(うんぬ)へ行け」と教えられ、亡くなった父親の故郷に行った。そこは、もう一つの世界ウンヌへ通じる場所だった。ウンヌへ行った透流は、そこでハギという少年と出会う。ハギの母親は、ウンヌを支配するミドさまの水くみの仕事をしていたのだが、一滴の血を水の中に落とした罪で殺されようとしていた。
 第三部は、ミドさまの家来に透流らがとらえられているところから始まる。透流を助けたジュゲは、「マノモノを引き込んだ罪」で張り付けにされようとしている。ジュゲをすくうためには、ミドさまに直接会うしかないと、透流は思う。


いじめられ、不登校になった透流。弱々しかった透流は、巻を重ねるごとにたくましく強くなっていく。
今まで自分が知らなかったことをたくさん知り、
本当の強さに気づいていく。
三巻ではようやく透流の母親の心情も吐露される。
ミドさまの真の姿や、ウンヌの秘密が、この巻で明らかになる。

「別の世界」を構築するというのは、とても難しい作業だ。
でも、この物語を読んでいると、
深い森の中にある小さな村や、ミドさまの館などがはっきりと目に浮かぶ。
濃い緑の匂いすら漂ってくる。
ちゃんとそこで生活しているウンヌの人々の姿が、見えてくる。
すごい筆力だ。

1巻を読んでから、ずいぶん経っているなあと思ったら
6年半も新聞連載していたのだそうだ。
6年半~!? 気が遠くなる……。
長い時間かけて熟成された物語は、それだけに重みがある。


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テーマ : 読んだ本の紹介
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棚尾小学校で授業2回目

碧南市の棚尾小学校に授業をしに行ってきた。
前回、お話の作り方を教え、
冬休みのあと作品を読ませてもらった。
本日は、その作品を返却し
「ポケネコ文学賞」を発表してきた。

そのあとは、「お話のドラマづくり」の練習を少しした。
みんなで意見を出し合い、リレーのようにお話をつなげていくのだ。
3クラスやったのだが、全然違うお話ができあがっていった。

3組は、「いつも元気な先生が元気がない。よく聞くとごはんを食べてこれなかったらしいので、一度帰って食べてくるように、みんなですすめた。先生がいなくなった教室は、大騒ぎになってしまう。○○くんが調子に乗ってテレビをつけると、なんと学校の近くに隕石がが落ちて来るというニュースをやっていた。それで…」と話は続く。

2組は、「過去の世界にタイムトラベルしてしまう」という話。信長と友だちになったらどうかとか、恐竜にのりたいとか、いろいろアイディアが出た。

1組は、「目が覚めたら動物園のクマになっていた。クマがぼくになってて入れ替わっている。逃げたいけど逃げられない。掃除をしにきた飼育員さんに『ぼくは、ホントは人間で、クマと入れ替わっちゃったんです』というと、飼育員さんが『おれは、昔はクマだったんだ』という」どうなる? この先!!

みんな意見を言いたくて、うずうずしているのがわかる。
本当ならもっと続けて、終わりまでたどり着きたかったが、時間的に無理なので、ある程度のところ打ち切った。
最後に今度出る本の紹介をして、ほんの少しだけ読み聞かせをして終わった。

あ~、楽しかった。

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授業づくり 学級づくり

「ワンステップアップ授業づくり 学級づくり 2年」(子どもの未来社)を読んだ。
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「ももたろう」の編集をしてくれているサンタポストの粕谷亮美さんが、編集に関わっているということで、1冊いただいたのだ。
書いていらっしゃるのは、白須富夫さん(白梅学園大学非常勤講師、元小学校教員)松田祐一さん(学級づくり授業づくり勉強会主宰 元小学校教員)をはじめとする。ベテランの小学校の先生たちだ。
この本は2年生版。
パラパラめくっていってある言葉が目にとまった。
「半径30センチの子ら」
そうなのさ、そうなのさ。
1,2年生の子と来たら、世界の中心は自分で、自分の身の回り30センチしか視野に入ってこないんだ。
そういうことをふまえた上での授業づくり、学級づくりが大切なんだな。

この本では
1 今時の2年生と学級開き 
2 友だち作りで学級づくり
3 国語の授業で学級づくり
4 楽しく習熟算数ワールド
5 2年生の生活科をどう考え、実践するか
6 言葉の力をみんなで高める国語の授業
が書かれている。

私が、一番おもしろかったのは、生活科の実践の話。
大豆を育てる実践が書いてある。
私も2年生を持ったとき、枝豆は育てた。
それを枯らして大豆にしようか迷ったけど、
塩湯でして食べてしまった。
大豆にして、そこからもっと話を広げたら面白かったんだなぁ。

学校の先生っておもしろい職業で
どれだけ勉強しても、まだまだすることがいっぱい。
現職である限り、ずっと勉強する必要がある。

この本も、そんな前向きに学級づくり授業づくりに取り組む先生方に
あらたな知恵を授ける1冊になると思う。

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K町の奇妙なおとなたち

斉藤洋「K町の奇妙なおとなたち」(偕成社)を読んだ。
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1950年代。東京近郊のK町に住んでいるぼくの周りで見た大人やちょっと不思議な出来事が書かれている。
たとえば、突然学校の池に潜っていった教頭先生を見てしまった話とか、お風呂屋さんであうといつも潜水艦ごっこをさせられるおじさんとか。決して笑い話ではなく、むしろもの悲しいものが多い。
時代がら、戦争の影もかいま見えたりする。

私が気になったのは「ベティーさん」と呼ばれる、日本人の女の人の話。
ベティーさんの素性は、まったくわからない。
子どもを親戚に預ける母親にくってかかったことで、なんとなく予想はつくけれど。
物語は、あくまでも小学校低学年のぼくの視点で進むので、
どの話も、明確な答えは出ない。

1950年代は、生まれる前の話なのだけど
読んでいると懐かしい気持ちになる。

「こどものとき、時間はなかなか進まない」
エピローグで、作者は、こんなふうに書いている。
「ゆっくり走る列車の窓からは、いろいろなものがよく見える。六体ならんだいわゆる六地蔵の影にキツネが一匹いるのを、各駅停車のディーゼル列車の窓から見たことがある」
乗っていたのが新幹線だったら、そんなものは見えなかっただろうと続く。

なるほどなあ。
時間がゆっくり流れる子ども時代だからこそ見えるものってあるんだろうな。

偕成社から出てはいるけど、子ども向き…ではないな。
大人が読んだほうが、楽しめると思う。

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くまざわくんがもらったちず

きたやまようこ「くまざわくんがもらったちず」(あかね書房)を読んだ。
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くまざわくんはたからばこのなかに、こがめざわさんからもらったてがみがあるのを思い出す。てがみには「こんどあそびにきてください」と書いてある。そのとき「おてんきのいい日におじゃまします」へんじをしたことを思い出す。
すぐにでもこがめざわさんのところに行きたいくまざわくんに、いぬうえくんは地図を書いてくれる。その地図を見ながら、ふたりはこがめざわさんのところに出かける。

いぬうえくんとくまざわくんのシリーズの第6弾。
あいかわらずのんびり屋のくまざわくんと、妙にしっかりしているいぬうえくんのコンビがいい味を出している。
とちゅうで、違う道を進むことになる二人。
くまざわくんは、歩きながら地図には書いてなかったことをたくさん見つける。
それはびっくりするほどおいしいわき水だったり、真っ白な花だったり。
そういうものを見つけるたび、くまざわくんは、いぬうえくんのことを思い出し、
あとでいっしょに地図に書き足そうと思う。
いっしょにいなくても、くまざわくんは、いつもいぬうえくんと歩いている。
なんだか、いいなあと思った。

きたやまようこの本は、なんといっても「ゆうたくんちのいばりいぬ」だけど
この「いぬうえくんとくまざわくん」も心がいやされるシリーズだ。

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かあさんのこもりうた

こんのひとみ「かあさんのこもりうた」(金の星社)を読んだ。
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いつもぼうやに子守歌をうたってくれるかあさんぐま。にいさんぐまもねえさんぐまもその歌を聞きながら眠っている。でも、ある日嵐がやってくる。いち早く黒雲をみつけたまねっこ鳥は、みんなに知らせるが、誰にも信用してもらえない。リンゴの実をとるのに夢中だった母さんは、逃げ遅れ、そのまま家に戻ってこなかった。
 毎日泣いてばかりいるぼうや。兄さんぐまや姉さんぐまは、いっしょうけんめいなぐさめるが、自分もどんどん元気をなくしていく。そんなとき、懐かしい母さんの子守歌が聞こえてくる。

東日本大震災でお母さんを亡くした子のところに
お母さんからの手紙が届いたという実話から生まれた話だそうだ。
本屋さんで立ち読みをした時点で、泣きそうになってしまった。

いもとようこの優しいイラストに、よけいに胸がしめつけられた。

もうすぐ、あの日から2年になるのだな。

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新しい本の話

新しく出る本のラフが届いた。
割り付けされた文章と下絵が入っているのだ。
どこまで話していいのかわからないので、こそっと言うと
題名は「くつかくしたの、だあれ」
低学年向きだ。

イラストレーターさんが、とても忙しい方なので
絵ができてくるのは、当分先だと思っていた。
思いがけず届いたラフは、サプライズのプレゼントのようだ。

いつも思うことだけど、
イラストレーターさんというのは、なんでこんなにすごいのだろう。
私が思っていること以上のことを、絵で表現してくれる。
主人公の女の子たちも、ほんとにかわいい。

ラフを見ていたら、俄然気分が盛り上がってきた。
書き直しの原稿も、
来週の授業の準備も
「やるぞ~!!」という気になってきた。

我ながら、なんて単純なのだろう、とも思う。

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世界一かわいげのない孫だけど

荒井寛子「世界一かわいげのない孫だけど」(ポプラ社)を読んだ。
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五年生の美波は、住み慣れた東京から、おばあちゃんの住む田舎に引っ越してきた。おばあちゃん…美波はひそかに毬乃さんと呼んでいる。「おばあちゃん」なんて親しみのある言葉で呼びたくもない。イヤミっぽくて、図々しくて、ケンカばかりふっかけてくるのだ。おまけにおせっかいな同級生のせいで、部員が一名しかいない演劇部に入ることになった。たった二人ではなにもできない。そこでおばあちゃんをネタにした創作落語をすることになるのだが……。

なんといってもこのおばあちゃんが、おもしろい。
かわいくないのだが、元々老人にかわいさを求める方が間違っている。
ちょっとおへその歪んでしまった美波には、おばあちゃんの面白さがなかなか伝わらないのだが
お嫁さんであるお母さんも、じつの息子のお父さんも、
おばあちゃんの良さをわかってるという点で安心して読める。
私は、落語には興味はないので、
最後の創作落語がいいのかどうかはわからないけど、
単純におもしろかった。

正直、「また落語かよ」と思ったのだが
なかなかどうして面白かった。
最後の創作落語が、愛情をたっぷり含んでいていいなと思った。
少なくとも「寿限無」とかやられるよりは、かなりよかった。
(余談だが、「寿限無」は、私のストーリーテリングの持ちネタだ)
高学年の女子なら楽しく読めると思う。

でももう、「漫才ネタ」も「落語ネタ」もいいな。
お腹いっぱい。

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非常食の賞味期限

阪神大震災があったあとから、非常食を準備するようになった。
まだ、息子たちも小さかったので、
「何かあったら私が守らないと」と本当に真剣に思ったからだ。
息子たちにひもじい思いはさせたくない。
大人は我慢できるけど、こどもは……と思った。

あれから、18年。
非常食は、何度も期限が切れ、買い換えた。
うっかりすると期限が切れているのだ。
1月くらいなら「もったいないから食べちゃおか」となるが
1年もきれていると、それも勇気がいる。
別の意味で非常事態になりかねない。
で、「ああ、もったいない」と思いつつ捨てるのだ。

毎回買い換えるたび「今度は期限の前に食べてしまおう」と思うのに忘れている。

今日、非常食の箱を見たら、切れてるわ、切れてるわ。
缶詰入りのパンも、パックのごはんも、レトルトカレーも、わかめごはんも
水もぜんぶダメ。
犬たちのためにドッグフードも入れてあるのだが、それもだめ。
ドライフードなのでいいかなと試しに1粒与えたら、口に入れなかった。
匂いがちがうのかもしれない。

早急に買い換えなくちゃ。

そう言えば、東日本大震災の数ヶ月前も、
私は一人「非常食がない!」と騒いでいた。
近所のホームセンターでいつも買っていたのに、何もなかったのだ。
お店の人に聞いたら「最近、売れなくなったので、仕入れていない」と言われた。
別のスーパーでも探したが無かった。
仕方ないので、ふつうの天然水とかレトルトカレーとかパックのごはんを買ったのだ。
どこの店にもなかったので「地震が来たら困るじゃないか」と文句を言いつつ。
その時のことを知っている友人は、私のことを「不吉な予言者」のように語る。

あれから、スーパーには常に非常食が置かれるようになり
その点では安心ではあるけど。

でも、ほら、また期限が切れてる!

今度は、期限が切れる前に絶対絶対食べてしまおう。
本当の非常食にならないことを願って。

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ちいさなおはなしやさんのおはなし

竹下文子「ちいさなおはなしやさんのおはなし」(小峰書店)を読んだ。
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あるところに小さななおはなしやさんが、小さなねことくらしていた。
店のうらのおはなしの木の実をとって、おさとうといっしょにことこと煮詰める。
かたいみがとろりとやわらかく煮えたら、お話のできあがり。
びんにつめてお店に並べる。
ちなみにその間、猫はなんにもしない。そばでごろごろのどを鳴らしていたり、ひと休みの時間のミルクとビスケットが楽しみだなとかおもっているだけ。
村の人は、びんにつまったお話を家にもってかえってスプーンですくって食べる。村の人たちは、お話が大好きなのだ。でも大変なことが起こる。嵐でお話の木が折れてしまったのだ。

読んでいるうちに、わたしも「お話」を食べてみたくなった。
なにしろ食べるたびにちがう味らしいのだ。
甘酸っぱい果物の味といっしょに、うっとりするようなきれいなお話や
くすくす笑いたくなるようなお話や、どきどきするようなお話が口いっぱいに広がるらしいのだ。
ああ、味わってみたい。
そばでごろごろしている猫もなでてみたい。

そしてまた、この挿絵のかわいいこと!
こがしわかおりさんというイラストレーターさん。
いっぺんにファンになった。

本当のお話は、鍋で煮詰めてもできないが
心の中でくつくつ煮ていく。
おはなしやさんに負けないおいしいお話を作れるようになりたいな。

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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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