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チャーシューの月

村中李衣「チャーシューの月」(小峰出版)を読んだ。
chashunotuki

親が育てることが困難な状況の子供たちが生活している児童養護施設「あけぼの園」に
6才の明希がやってくる。
中学生になったばかりの私ー美香ーは、成り行きで明希の世話をするハメになる。
明希は、ほとんど話さない子だったが、見たものを写真のように記憶に残す能力を持っている。
辛い過去もすべて記憶してしまっているのだ。


楽しい物語ではない。
でも、引き込まれて一気に読んだ。
美香の思いも、明希の思いも、あけぼの園にいる他の子どもたちの思いも
胸が苦しくなるほど、よくわかった。

このお話、中学生の子にぜひ読ませたい。

2013年全国読書感想文コンクール中学生の部の課題図書。


昨日から、突然、ブログに写真がアップロードできなくなってしまった。
何が起こったのか不明。
いろいろやってみたけど、直らない。
こちらの不具合ではないのかもしれないので
しばらく放置することにした。
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かわいそうだね?

綿矢りさ「かわいそうだね?」(文芸春秋)を読んだ。
kawaisoudane

ある日、彼が元カノと一緒に住むと宣言する。「アパートを追い出されて行くところがない。就職が決まるまで置いてやりたい」私は、もちろんいやだというのだが、「承知してくれないなら、別れるしかない」と言われ、同居を許してしまう。彼は、外国暮らしの長い帰国子女で、元カノとはアメリカで知り合い、彼が日本に来るときに一緒に来たのだという。「外国では友人が困っていたら部屋に泊めてあげるのは当然なんだ」「ルームシェアは、ふつう」と自分を納得させるのだが……。

外国育ちの元カノ。おっとりしていて、年齢より幼くて、天然な感じで、すごーくすてきな人に書かれているのだが、こういうヤツ、最悪だな。

この本には、もう一つ「亜美ちゃんは美人」という作品が収められているのだが、ここにも、誰もがひきつけられる美しくて天然な女の子が出てくる。彼女も、その美しさゆえに、誰からも特別扱いされ、それが当然と思い、人の気持ちには気づかない。

どっちの作品にも、女側から見たら、「大嫌い」なタイプの「男ウケのいい女」が出てくる。

こういう子、いっそいやな奴ならいいんだけど、そうじゃないとタチが悪い。
嫉妬する自分の醜さに気づいてしまうから。


綿矢りさは、17歳で鮮烈なデビューを飾り、19歳で芥川賞をとった。
しかも美人作家(当時は美少女作家と言われていた)で知られている。
どっちかっていったら「美人でちやほや」される側だと思うのだが
こういうのを書くのかぁと意外な気がした。

デビューから10年以上たっているが
綿矢りさの作品は、思いのほか少ない。
前に彼女のインタビュー記事を読んだら
「書いてもボツにされることが多く」「週3でアルバイトをしていた」というようなことも書いてあって
人から見たら、容姿にも才能にも恵まれ、何の苦労もなさそうなこの人も、
悩んだ時期があったのだな、と思った。
ちょっとほっとした。

19で書いた作品より
29で描いた作品のほうが深い。
それは当然のことかもしれないけど。

最近でた「憤死」も読んでみたくなった。

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ソロモンの偽証第Ⅰ部 事件

宮部みゆき「ソロモンの偽証第Ⅰ部 事件」(新潮社)を読んだ。
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クリスマスの朝、中学校の校庭の隅に、少年の死体が発見される。この学校の2年生の生徒、柏木卓也だ。二学期になってから不登校になっていた。死体の状況、家族の話から、卓也の死は自殺と判断される。卓也が不登校になった原因と思われる生徒は、町でも有名な札付きのワル。自殺の原因は、彼らにあるのではという噂も流れている。卓也の葬儀では、父親が学校側に精一杯の対応をしてくださったと謝辞を述べ、自殺の原因は学校でのいじめではなく、卓也自身の弱さであると述べたことで、事件は沈着の様相を見せたが、そんな折、一人の女生徒が「あれは、殺人だ。自分は見た」という告発文を匿名で、三人の人物に送りつける。その一通がマスコミの手に渡ったことから、事件は再び動き出す。

とにかく登場人物が多い。
ただ一人一人の人物設定がきちんとしているせいか、まったく混乱はしない。
ひとつのことについて、いろんな人物の視点から角度を変え書き進めていく。

あらすじをまとめたら、それほど入り組んだ筋ではないのに
情報量はハンパではない。
一時も気を緩めることができなかった。
大好きな宮部みゆきなのに、読むのにてこずった。

14才。中学2年。
この年齢設定は絶妙だ。

この物語には、樹里という女の子が出てくる。
嘘の告発文をおくる少女だ。
ひどいニキビに悩まされていて、ワルたちからは便器に顔を突っ込まれ「ブス」とののしられる。
彼女は、嘘の告発文を正義だと思っている。
友人の松子を見下していて、「自分が相手をしてやらないと友だちになるヤツなんていない」と思っている。
町でカツアゲをして、相手に瀕死の重傷を負わせるワルたちより、
この樹里ちゃんが、一番怖い。

そして、怖いのに、私は樹里の中に中学の時の自分を見てしまう。

樹里の狂気は、誰もが持ち合わせているものなのだ、多分。

すごいな。宮部みゆきは、本当にすごい。

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小指癖

知り合いの娘さんが句集を出したと言うことで、1冊いただいた。
koyubiguse
鈴木まゆう「句集 小指癖」(角川書店)
句集を出されたというと、年配の方のような印象を受けるが
まだ30才そこそこの若い俳人だ。
たしかに、俳句のそこここに若々しさが感じられる。

不勉強な私は、俳句の良さをうまくお伝えすることができないので
少しだけ、俳句を紹介させてもらう。

プチトマト つまむ小指を 立てる理由
うす塩の ポテトチップス 朧月
人形に そっと目隠し 桃の花
夏山に 一礼 女運転士
頬被り したがる僕は スーパーマン


詩集や句集は、なかなか書店の棚にならぶことはない。
興味を持った方は、ぜひこちら(TUTAYA)でお求めを。

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餅は餅屋

今書いている原稿のことで
わからないことがあって
やっぱり、こりゃあ専門の人に聞かなきゃなと思い、
電話で取材をした。

一人は、元小学校の校長先生。今は教育委員会にいる。
以前は、一緒の学校で勤務していた人だ。
「校長先生の立場で考えて欲しいんですけど」
と、事件があったときの校長の対処の仕方を聞いた。
自分が思ってたのと、全然違うこともあって、聞いてよかったと思った。

次は警察関係。
事件があったときの、警察の動きを知りたかったのだ。
電話をかけたのは、大学の時の友人。
彼は、大学を出てから警察学校に行き、警官になった。
話すのは彼の結婚式に出て以来だから、多分、15,6年ぶり。
「今、何やってるの?」
と聞いたら、
「ヤミ金とか」
「ヤミ金…。その前って確か」
「薬物」
「ああ、そうだったね。なんか物騒だね」
「警察だしね」
そりゃ、そうだ。

事件が起こったときの警察の対応とか
こういう捜査だと何人くらいきてくれるのとか
それって何課なの?とか、いろいろ教えてもらった。

なんにしても私の作り話での設定なので
突拍子もないことに答えるハメになる。

けど、立派だね。
前述の元校長先生にしても警察官の彼にしても
根気よく作り話の設定につきあってくれる。
実際にはあり得ない話でも、真剣に考えてくれる。
で、私だけでは想像もつかない現実の対処を教えてくれる。

まさに、餅は餅屋だ。

原稿は大幅に直さなきゃな。

電話を切る際に彼は言った。
「自分の部署とはあんまり関係なかったから
 的確に答えられなくてごめん。
 薬物のことなら、もっと詳しく教えてあげられるんだけど」
ありがとう。
でも、私が書いてるのは児童文学だからね。
児童文学でも薬物のこと書くようになったら
世の中おしまいだよなあ。


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友人とランチ

四日市に住む友人と名古屋駅で待ち合わせ、ランチをしに行った。
今日は、名鉄グランドホテルの18階のアイリスというお店。

ホテルでランチなんて、滅多にしないけど
たまにはちょっとリッチなお昼ごはんもいいかなと。
週替わりランチとデザートブッフェ。
クーポン券を使って2040円。
デザートがいろんな種類があって、みんな食べたかったけど
そうそうお腹に入るもんじゃない。

ああ、ギャル曽根になりたい。


この友人は、小学校以来の友人。
私はなぜか彼女といると、やたらにリラックスしている。
言いたいことはずばずば言い
お世辞で笑うこともなく、かなりだらだらしている。
彼女もおとなしい癖に
私には結構突っ込みを入れてくる。
彼女といると、私は、若林といるときの春日のようにのびのびできるのだ。



夜PCをひらいたら、15年ほど前の教え子からメールが来ていた。
ブログを読んで、メールしてくれたらしい。
つい最近彼女のことを思い出し「どうしてるのかな」と思ったところだったので
あまりにタイムリーで驚いた。

教え子たちからのメールは、いつも「おぼえてますか?」で始まるのだが
みんな! 先生の記憶力をなめてもらっちゃあ困るよ。
私は、教え子については超人的な記憶力を発揮することができるんだから。

今日メールをくれた彼女は、松潤がすきだった。(そのころは嵐ではなくてただのジャニーズJr.だった)
私があさのあつこの「バッテリー」を教室に持って行ったとき、一番反応してくれたのは、彼女だった。
市内陸上大会の直前に捻挫して、それなのに100Mで入賞した強者で
学芸会では、女の子の癖に「はだしのゲン」の役を演じていた。
いや~まだまだ言えるよ。

今彼女は広島の大学で心理学の研究をしているらしい。
前に会ったときは「先生になりたい」と言ってたけど、きっといろいろ考えて今の道に行ったのだろう。
あのときのクラスの子たちは、もう結婚した子も多いけど
彼女は、まだまだ結婚しそうにないなあ。
でも、それもいいんじゃないかな。

教え子が、自分らしく生きていると言う話を聞くとうれしい。

「6年生の時の担任の先生が作家だというのは自慢です」
と彼女は言ってくれた。
そんなふうに言ってもらうと、またうれしい。

みんな、
先生はもう先生じゃないけど
でも、一生君たちのことを気にかけているよ。

私のブログを読んだ教え子のみなさん、またメールをください。

作家冥利につきる

夫は、学校勤めなのだが
4月のこの時期は忙しく、休日出勤は当たり前だ。

日曜日、夫が学校に行くと
女の先生がお子さんを連れて来ていた。
まだ、小さなお子さんだ。
そのお子さん、「がっこうかっぱのイケノオイ」を抱えていたそうなのだ。
「この本がお気に入りで、どこに行くときも、ず~っと持ってるのよ」

作家冥利に尽きる話だ。

「イケノオイ」を書いてホントによかったな。

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おいで、一緒に行こう

森絵都「おいで、一緒に行こう」(文藝春秋)を読んだ。
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福島原発20km圏内のペットレスキューの実態を取材したノンフィクション。
立ち入り禁止の区域。警察の目をかいくぐり、中に置き去りにされたペットを助けに行くレスキュー隊。
森絵都自身も、中に入りペットの救出に当たっている。
途中「これは、書いてもいいのか」と悩むあたり、
ぎりぎりな取材の様子がリアルに感じられる。

森絵都のノンフィクションを読むのは二度目だ。
前に動物保護問題を取材した「君と一緒に生きよう」を読んだ。
この取材で森絵都は、犬たちが殺処分される様子を見ている。
すごい人だな、と思った。
この本で森絵都が、保護された犬を引き取り育てることにしたことを知った。

その1年ほど前、私は、たまたま森絵都さんと話をしている。
ある会の二次会で一緒になったのだ。
私が、トイプードルを飼っていると話したら、
「いいですよねえ。私も犬が飼いたいんです」とおっしゃっていた。

そして、その絵都さんが選んだのは、保護された犬だった。

そんな絵都さんだから、置き去りにされた犬や猫たちがどうなっているのか気になって仕方なかったのだろう。
実は、私もそうだ。
犬は、人間を信じて疑わない。
誰もいなくなった町で、飼い主が戻ってくるのをじっと待っているのにちがいない。
そう考えると、気になって仕方なかった。

でも、考えて、心配しているのと
実際に行動を起こすのとでは天と地ほどの違いがある。

森絵都は、実際に20キロ圏内でペットレスキューをし、
ペットレスキューの活動をしている人たちが、
どんな現実と戦っているのかを伝えている。
それだけでなく、助けられた犬たちが、幸せに暮らしている様子も伝えてくれる。

震災から数ヶ月が過ぎたとき
ネットで、置き去りにされた家畜たちの写真をみた。
骨と皮だけの無惨な姿の写真だ。
餓死した生き物たちの姿も見た。
「とんでもないことをしてしまった」と思った。
人間の勝手で、こんなにたくさんの命を、
こんなに無惨な姿にしてしまった。
あまりに衝撃的な写真に、私は思考を止めた。
もう考えないようにしようと思った。
それほどに、辛い事実だったから。

でも、それはやっぱり間違ってる。
事実を直視すること。
逃げないこと。
それが大切なんだ。

「命を拾う」作業は、きっと今も行われている。

今、私は何ができるのだろう。

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地震

目覚ましかと思った。

5時33分ケータイが鳴った。
私の目覚ましの音はきゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」にしてあるのに
全く違う音だったので、セットするときに間違えたのかと思った。

違った。

緊急地震速報だった。
夫のケータイも息子のケータイも鳴っている。
「強い揺れに備えてください」と書いてあったが、
結局布団をかぶっただけだった。
愛知県は、実際には、ほんの数秒揺れただけだった。

この辺りは、昔から大きな地震が来ると言われ続けている。
子どもの頃から「東海地震は、100%くるのです」と言われて大きくなった。
でも、2年前から各地で頻繁に地震が起こっているのに
愛知県は、不自然なほど地震がないのだ。

いつ来るんだろう。

いつ来たっておかしくない。

そう思っているから地震が来るたびに「とうとう来たか!」と思う。
今朝もそうだった。
でも、ちがってた。よかった。

今日は震源地のほうでも、目立った被害はなかったようだ。
「震度6でもたいした被害がないっていうのは、日本はすごいよね」と息子が言っていた。
住宅の造りがしっかりしているんだろうな。

しばらく忘れていた地震速報の音。
これでまた、頭にインプットされたな。


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体育館の日曜日

村上しいこ「体育館の日曜日」(講談社)を読んだ。
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日曜日、ぞうきん、羽、跳び箱、モップなどがドッジボールをしている。
なにかと文句の多い羽が、ぞうきんがやる気がないことを責める。
じゃあ、今日は何かぞうきんがやる気を出すようなことをしようと話がまとまる。
ぞうきんは、前から釣りがやってみたかったのだ。
そこで、みんなで近所の釣り堀に出かける。

いつもの関西弁の軽妙な語り口調で話は進んでいく。
いじわるでわがままかとおもった羽が、意外にいいヤツなのも判明し、
いつもの明るく楽しい村上ワールドだ。

村上しいこのお話は「冷蔵庫の夏休み」をはじめ、ランドセルもこたつも炊飯器も話すし、動く。
この「日曜シリーズ」でもそうだ。
だから、いいっちゃあ、いいんだけど。

なんかね、引っかかる。

日曜日に、跳び箱やほうきや黒板消しなどが動き出すのは
誰もいないからなんじゃないかと思ってた。
つまり、誰にも見られないから、動き出すんだって。

でもね、このシリーズの登場人物っていうか道具たちは、堂々と町に出かけ人と話すんだよ。
全然こっそりじゃない。
今回なんて、釣り堀のおじさんにタダ券はもらうわ、
子供に交じって釣りはするわ、
かなり堂々としている。
つまり、日曜に動き出すのは平日は仕事してて
日曜日は休日だから、自由時間てことなんだろうな。
ぞうきんが釣りに来ても、みんなが平然としているのは
「ああ、ぞうきん君も、今日はお休みだからね」っていう感覚なのだろう。

おお、書いていたら、だんだん設定が見えてきたぞ。

このシリーズ、こんなにも次々に出てるってことは、売れてるってことだろう。
好評なのだろうな。
だけど、やっぱり、「冷蔵庫の夏休み」のシリーズの方が勢いがある気がする。

でも、村上しいこが、おもしろくないってわけじゃない。
今日も、若いお母さんたちを対象にした「ミニミニ講演会」で
「だいすきひゃっかい」をオススメしてきた。
「ぜひ、読んでください」
ここまで他人の本をオススメする作家も少ないと思う、我ながら。

あくまで、村上しいこの作品の中では…というお話。

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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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