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夜間中学校文集

以前、奈良の春日中学校夜間学級の生徒さんたちから
「夜間中学へようこそ」の感想文を送っていただいた。
せっかくいただいたので
返事を送ったところ、
今回、文集を送ってくださった。
卒業生だけでなく
在籍している生徒さんの一年間の学習の成果としてまとめられたものだ。

読んでいて、胸が震えた。

ある方は、病気で学校に通えないまま卒業し
中学卒業後は、家族を支えるために働き、結婚する。
ある日、買い物の店先でお子さんに「これ、なんて読むの?」と尋ねら
答えられない自分を恥じ、逃げるように店を出る。
そのことがきっかけで学び直すことを決心する。

ある方は、「夜間中学へようこそ」を読み
おばあちゃんと自分の姉が重なり、
涙が止まらなかったという。

母国を離れ、なれない土地で必死に勉強を続けてきた人もいる。

残留孤児の認定を受け
ようやく日本に来たものの
慣れない土地で苦労し、夜間中学にたどり着いた人もいる。

高校へ、さらに大学へもいきたいという希望をもっている80代の方も。

不登校の後、夜間中学に居場所を見つけた若者もいる。

卒業証書を受け取ってしまった人でも、
学校に通っていないことが証明できれば、夜間中学にはいれるようになったことで
長年の夢だった夜間中学へ入学できた人もいた。

感想文を書いてくださった人の作文だけとおもって読み始めたが
結局隅から隅まで読んでしまった。

春日中学校夜間学級の皆様
素晴らしい文集をありがとうございました。
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名前をよばれない世界

我が家の三人目の息子、ルウ。
ruu12sai
もうすぐ12歳の誕生日を迎える。
はじめは漆黒のルウだったのに、どんどん顎の下や耳の下が白くなってきた。
人間と同じで、犬も年をとると白髪になるらしい。
最近、耳が遠くなってきたようだ。
前は、誰かが家に来ると即座に反応したのに、
今は気づかないで寝ていることが多い。
名前を呼んでも顔を上げない。
年をとってきたんだなと思う。
息子その1が、「ルウは、最近、自分のことを誰も呼んでくれないと思ってるんだろうね」と言った。
そのせいか、ルウは最近後追いがひどいのだ。
トイレから出てくると必ずとびらの前に
二階の掃除をしていれば二階に
庭に出れば、玄関の前で待っている。
不安なのだと思う。
ルウは、今、自分のことを誰も呼んでくれない世界にいるのかもしれない。
それは、すごく寂しくて、心細い世界なんじゃないだろうか。

忘れていないよ。
ずっとそばにいるよ。

聞こえないのなら、と手が空けば抱き上げ、
体をなででやる。
散歩に行くときは、まず背中をポンポンとたたいて、リードを見せる。
「お散歩に行こう」
息子たちも今まで以上に、ルウに触れている。

でも、ルウの変化に気づいていたのは、どうやら、人間だけではないようだ。

モカも、わかっているみたいだ。

誰か(夫や息子たち)が帰ってくると、
モカは、寝ているルウの前にいって
「ワンッ」と大きく吠えるのだ。
その後、二匹でそろって玄関に走って行く。
はじめは、モカが誰かの帰宅にテンションが上がってるのだと思ったけれど
毎回、必ずルウのところにいって、「ワンッ」と吠えるのだ。
これって、ルウに教えてるんじゃないだろうか。
「来たよ!」って。

「犬にはそんな思いやりはありませんよ。考えすぎです」
と、つっこまれそうだけれど、
そんな気がしてならない。

角野栄子さん、国際アンデルセン賞受賞!

3月26日、もうすぐ日付が変わろうとする頃にJBBY(日本国際児童図書評議会)からPCにメールが来た。
こんな夜遅くに来ることは今までなかったので
何があったのだろうと開いてみて「わあ、すごーい!」
思わず声を上げた。

「角野栄子さん、国際アンデルセン賞受賞」のお知らせだった。

児童文学界のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞。
すごすぎる。
でも、長年第一線で児童文学を書き続けてこられた角野栄子さんなら、もらうのが遅いくらいだ。
もっと早くに選ばれていてもよかったのでは?

角野さんは、野間賞の祝賀会のとき、
わざわざそばに来てくださり、
お祝いの言葉をかけてくださった。
雲の上の人に声をかけていただいて、舞い上がってしまった。

きれいな銀髪のボブヘアーに
赤い縁取りの眼鏡がお似合いだった。
背筋がピンと伸びていて、
若々しく美しい方だった。

末吉先生が亡くなり、追う背中がなくなってしまったと思ったけれど
児童文学界には、まだまだ追いたくなる背中がたくさんある。

角野さん、本当におめでとうございます。



1月の末から、週1回、通った着付け教室。
とうとう「訪問着」+「袋帯」までたどり着いた。
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まだまだ下手だけど、とりあえず着られるようになった。
やると決めたことは、途中では投げ出さない主義だが
ここまできたら、もういいかな。
あとは、家にあるお下がり着物を、とりあえず一回ずつ着るのが目標。
母も、まさかわたしが着物を着るなんて思っていなかっただろうなあ。

友人に、母の着物を着ていることを話したら、「代々着るっていいね」と言われた。
「でも、うちは娘はいないから、わたしの代でおしまいだよ」と答えたら、
「孫っていう手もあるよ!」
孫!
息子には、結婚の予定もないけれど、
それでも、もし、もしも、孫ができて、女の子で、そして着物を着てくれるといったら
それこそ、100年くらい前の着物を着ることになるのかも。
前に「テディベア探偵」を書いたとき、古着屋さんを舞台にしていたので
古い道具やドレスや浴衣の話を書いたのだけど
今なら「着物」で書くな。
ひいおばあちゃんの娘時代の着物。
ひいおばあちゃんの着物を着て、ひいおばあちゃんが若い頃好きだった人のひ孫に会いにいくなんていうのはどうだ?
おお、一つお話が書けそうだ。

ももたろう48号

同人誌「ももたろう」48号ができあがった。
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今回は240ページ。
けっこう厚い。
そして中身もけっこう濃い。
このまま本にしても良さそうな物語もある。

しかも冒頭に
わたしの「野間児童文芸賞贈呈式レポート」を同人の蓼内明子さんが書いてくださった。
これがすごくよくて、読んで泣きそうになった。
ありがとう、蓼内さん。

わたしは「今、空に翼広げて」の続き。
マキの家の冷蔵庫から冷凍パスタをぬすんで大事になったつばさは
翌日から学校に来なくなる。
マキは「きっと顔を合わせるのが気まずいのだろう」と予想するが……・。

読んでみたいなと思われる方は
ももたろうHPからお申し込みください。
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今号のみでも、定期購読でも、バックナンバーで受け付けます。
1冊送料込み600円です。

講談社HP

昨日になって、ようやく思いだした。
2月に、講談社の編集者さんから
「こんど講談社のHPに野間児童文芸賞のページを作ることになったので、写真を使用していいですか?」といわれていた。
その後、HPはどうなったのか。
全く見ていなかった。
でも、ひらいてみた。
トップにどーんと「野間児童文芸賞」と書いてある立派なページだ。
講談社HP
しかも、こんなページを作ってもらったのはわたしがはじめてみたいだ。
すごい。
つくづく講談社って心が広い出版社だと思った。
他社の本なのに。
野間児童文芸賞をくださったこと自体、すごいのに
こんなページに載せてくださって。
このご恩はどこかで返したいと、真剣に思っている。
(なんなら、お掃除でもよい)



今日は、小学校の卒業式。
小学校の卒業式って、なんで雨や雪が多いんだろうなあ。

鬼ヶ島通信50+20

「鬼ヶ島通信 50+20号」が、やっと読めた。
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今回は、昨年亡くなられた佐藤さとる先生の追悼特集。
三木卓さん、山下明生さん、西本鶏介さんをはじめ
たくさんの方が佐藤先生にお別れの言葉を述べている。
追悼座談会では、佐藤先生に縁の深い方々が、「鬼ヶ島通信」創刊時のことなど、佐藤先生秘話を語っている。

また、追悼特集以外も
今回の創作は、すごく読み応えがあった。
わたしは、とくに河合二湖さんの連作短編二話「少女の海域」と
みうらかれんさんの「とばねばならぬ。」がよかった。
ストーリーを話すとネタバレになってしまうので控えるが
どちらも中学生の女の子の心情を、すばらしくうまく書き切った物語だ。
「とばねばならぬ。」については、プロの作家が、
あまりのうまさに「鳥肌が立った」と語っている。

読んでみたいなという方は
鬼ヶ島通信ホームページまで(鬼ヶ島通信

岡崎河津桜

今年もまた、岡崎の河津桜を見に行ってきた。
今年は、すごい人だった。
お弁当を広げている人も多かった。
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外国人の人がすごく多かった。
中国人と思われる人が一番多いのだけど
アオザイ姿の人もいたし(ベトナム?)
サリーを着ていた人もいた。(インド?)
そんな国際色豊かな中に、
なんとわたしは、着物で行った。
1月の終わりから着付け教室に行っているのだ。
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まだ上手に着られないけど、思いきって着て出かけてみた。
写真を撮った後、帯締めが下がってきていることに気づいた。
よかった~。帯がおちなくて。

この着物は、母のお下がり。
生きていたら母は92歳。
だからこの着物、6,70年前のものだと思う。
着物にくわしい人ならわかると思うが、袖(袂)が長い。
しかもかなり中途半端な長さなのだ。
母の着物のほとんどがこの長さ。
この頃は既成のものなんてなかっただろうから
おそらく母の好みだったのだろう。
それなのに、なぜかそれに合う長襦袢がない。
袂が普通の長さのものしかないのだ。
これだと後ろから出てきてしまう。
しかたないので、作ることにした。袖なんてただの長四角を輪にするだけだから簡単。
元々あった長襦袢の袖はていねいに糸をほどき
手作りの袖をつける。
つけかえられるようにマジックテープにした。(アイロンで)
もともとあった袖にもマジックテープを装着。
これで、普通の着物にも使える。
家庭科は苦手だけど、工作は大の得意。

ものすごく長い時間、衣装缶に眠っていた着物。
日に当たったら、粉になって舞い散るかと思ったけれど、無事だった。
よかった。
下着姿になっちゃわなくて。

レインボールームのエマ

戸森しるこ「レインボールームのエマ」(講談社 おしごとのおはなしシリーズ)を読んだ。
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エマはレインボールームに置いてある人形。
レインボールームは、困っていたり、悩みがあったりする子が来る相談室。
相談室には、スクールカウンセラーの入口さんがいる。
このところよくレインボールームにくるのは、3年生の出口さん。
この子は、体は男の子だが、心は女の子だ。
だから、女の子と一緒にいたいし、かわいいものがすき。
そのことをからかわれている。
5年生のなごみさんは、マスクが外せない。
以前、鼻の穴が大きいとからかわれたからだ。
入口さんは、その子たちの話を聞いてあげる。
ときには、お母さんや先生の相談にも乗る。

戸森しるこ作品には、必ずLGBTの子が出てくる。
今回は、中学年向きなので
この本で初めてLGBTを知る子もいるだろう。
心の性と体の性がちがう子を、自然に受け入れて行くには、低、中学年の方が良いのかもしれない。

スクールカウンセラーがお仕事の話に出てくるなんて
今ドキだなあと思った。
スクールカウンセラーなんて、大人は知らないかもしれない。
人数的には、そんなに多くはない。
このお話のように、いくつかの学校を掛け持ちしている人がほとんどだ。

つい最近、同じシリーズで
安田夏菜「なんでやねーん」(お笑い芸人)、如月かずさ「声優さんっていいな」(声優)も読んだが
こちらも、今ドキだなあと思った。
ちゃんと、その仕事につくための豆知識ものっているのだ。
昔は、そういうのは「夢の仕事」みたいな感じで
どうやってなるのかなんて教えてもらえなかった。
新鮮な感じがした。

ふたご

藤崎彩織「ふたご」(文藝春秋)を読んだ。
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友だちがおらず、いじめにあっていた夏子は、中2のとき、1つ年上の月島と出会う。
月島はいう。「おまえの居場所はおれが作るから」
その言葉に引き寄せられるように、夏子は月島から離れられなくなる。
月島は、夏子に自分たちは「ふたご」のようだという。
気が向くと「恋人」と人に紹介する。
それなのに、「好きな子ができた」と平気でいう。
高校に進学した月島は、1学期のうちに退学してしまい、
しばらくダラダラとすごした後、留学し、そこで泡をふいて倒れる。
帰国後は、精神病と診断され、隔離病棟へ入院となる。
その後、月島と夏子はバンドを組み
仲間と共同生活をし
メジャーデビューを目指す。

直木賞候補作。

最初にこの物語が直木賞候補作になったと聞いて、へえと思った。
作者藤崎彩織は、SEKAI NO OWARI のメンバーだ。
音楽だけじゃなくて文書けるのかと思い、読んでみた。

描写のうまい人だなと思った。
書きうつしておきたくなるような表現が随所にあった。
月島が精神を病み、泣き叫ぶ場面の描写のすさまじさに息をのんだ。

物語は、息苦しかった。
一部と二部に分かれていて
一部は二人の出会いから、二十歳くらいまで。
二部は、バンドを組み、デビューするまで。
一部の方が、引きつけられた。
かなり私小説っぽい。

セカオワのファンでもなんでもないが
以前からこの人たちの演奏を見るたび、
キーボードのsaoirとボーカルの fukaseの距離感が気になっていた。
イチャついてるとしか見えない……。
そういう演出なのだろうと思っていたのだが
そうではないのかも。
この小説、どうしてもこの二人のこととしか読めないのだ。
fukaseは、前に「精神科の隔離病棟に入院してた」とテレビで言ってたし。
そう思って読むと、もうますますそうとしか読めなくなってくる。
だから、ものすごく生々しい。

主人公、夏子は、終始月島に振り回されている。
好きで好きでたまらない。
でも、ただの恋人におちるのでなく、もっと深いところで、結ばれたいと願っている。
そして、そのもっと深いところってなんだろうと考えてみると
もう、「ふたご」程度じゃない。
一体だ。
でもそんなの、絶対にかなわない。

純粋にセカオワの音楽を愛するファンには
嫌悪感を感じる物語かもしれない。

でも、わたしは、この人が新作を出したら、きっと読むと思う。

お詫び

日曜日の児童文学講座の感想をいただいた。
アンケートに書き込んでくださったものだ。
「おもしろかった」
「1時間半が、あっという間だった」
「山本さんの本をもっと読みたい」と書いてくださった方が多く
すごくうれしかったのだが

読んでいて、「 しまった!」と思うことが……。

「夜間中学へようこそ」の取材で
大阪と東京のどちらの夜間中学に行こうかと迷ったという話。
地理的には大阪が近いのだが
夜の大阪はちょっと怖いような気がして……と軽口をたたいた。
笑いが起こったので
自分ではよしとしたのだけど
受講者の中に大阪出身の方がいらしたのだ。
「ちょっと悲しかった」と書かれていて、ドキッとした。
本当は、年に何回も行っている東京の方が
生まれてから2回しか行ったことがない(一回は職員旅行、一回は家族旅行)大阪より
わかりやすい気がしたからなのだ。
知らない土地で、夜に迷子になるのが、怖かったのだ。
でも、そんな説明はしないまま流してしまった。

アンケートにお答えくださった大阪出身の受講者様
このブログを読んでくださっているかどうかはわかりませんが
大変失礼しました。
ちょっと調子に乗って話してしまいました。
大阪が、特に治安が悪いとは思っていません。
悲しい思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。
プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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