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怖がりだっていいじゃん

本は、本屋さんで購入することを心がけているのだけれど、
こちらの本屋では、なかなか見かけないのが「飛ぶ教室」。
アマゾンに予約しておいたら、昨日届いた。
tobukyousitu54
怖い話の特集かと思ったら、ちょっとちがった。
「怖がりだっていいじゃん」
「怖がり肯定」の特集だった。

まだ、すべてを読んだわけではないけれど
戸森しるこ「ルフラン」がとてもよかった。
短い中に、「戸森ワールド」が、ぎゅっと凝縮されていた。
タイトルをはじめとする、言葉の選び方がうまい。


江國香織のインタビューも興味深く読んだ。

最後のページの「読者の感想」で
53号に載せたわたしの「犬がすきなぼくとおじさんとシロ」がよかったと書いてくださっていた人がいて、うれしかった。

怖い話で思いだしたが、昔は、お盆前後になると
決まって「怪談」をテレビでやっていた。
今でも覚えている。「怪奇十三夜」
幽霊話を13日間やる。
怖くてしかたないけど、見ないとたたられるような気がして、見た。
そして眠れなくなる。
「あんなもの、見てるからだ」と母にしかられる。
(いや、テレビつけたの、あなたたちでしょ←今ならいえる)
その繰り返し。

それから、わすれられないのが山岸凉子のマンガ「幽霊談」。
雑誌「りぼん」の付録(別冊)だった。
もう、この怖さときたら……。身も凍るものだった。
あまりの怖さに捨てようと思うのだけど、それも怖くて出来ない。
本棚に置いておくと、そこから得体の知れないオーラが漂ってくる(気がする)。
薄っぺらい本なのだけど、そこにあるだけで、恐怖がっ!

今も幽霊は怖い。
お化けのテレビは、絶対見ない。
でも、「幽霊が出る」噂のあるホテルにも平気で泊まれるし(だって、安いんだもの)、
今、このブログも仏間で書いている。
(我が家でここが一番涼しい)


じゃあ、怖いものがなくなったかといえば、そうでもない。
子どもが生まれたとき、
わたしは、自分がものすごく怖がりになったことに気づいた。
地震も、台風も、火事も怖い。
子どもを襲う病原菌が怖い。
意味もなく人を傷つける輩とか
息子のやわらかい肌を刺す虫ですら怖かった。
今、手元にある無防備な小さな命を
ほんの少しでも傷つけるような物がすべて怖かった。
そういった脅威が襲ってきたときに、わたしは、どうやってこの子たちを守ったらいいのか。
絶対守り切れない。
そう思うと、体が震えた。
「幽霊」は、こどもたちを傷つけたりはしないだろうから、
「恐ろしいものランキング」では、下位に下がっていった。
そんなもんに、怖がってる場合じゃなかったのだ。

子どもも大きくなって、もうわたしの保護下ではなくなった。
わたしが抱きかかえて守ることもないだろう。
そうなると、一気に怖かったものの「怖い度数」が薄まってきた。
しかし、だからといって、いったんランキングがさがった「幽霊」が、盛り返してくることはなかった。
様々な恐怖を乗り越えてきたわたしの神経は、
今やヒマラヤ杉ほども太い。
今、怖いのは、人の力ではどうにも出来ない天災。
それと、核や戦争。
自分の子だけではなく、すべての命を脅かすものが怖いと思う。
こういうのは、怖がっていいのだ。
怖いからこそ、どうにかしなければと思える。
それこそ「怖がりだっていいじゃん」だ。
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ももたろう勉強会

20日は、同人誌ももたろうの勉強会だった。
1週間前にメールで原稿を送りあい、感想、意見を持って参加する。
毎年恒例の夏の行事だ。

今年は、7人の参加。
一人40分くらいと考えていたのだけど、1時間くらいやっていた作品もあり、
時間が足りないので、休憩なし。
それでも集中力が途切れることなく
充実した時間を過ごすことが出来た。

夜は、同人の蓼内さんの手作りのグリーンカレーや
各自持ち寄ったものをおつまみに
ビール片手のおしゃべり会。
最近読んだ本のことや
作家さんの話で盛り上がった。
「野間賞の贈呈式で見た高橋さん、芥川賞だったねえ」とか。
「『さよなら、田中さん』、図書室でも人気だよ」とか。
ふだん、こんなに本の話ができる場はないので、
わたし的には、すごく満足。

翌日は、蓼内さんとグランツリー武蔵小杉に行った。
紀伊國屋書店では、課題図書以外にも夏のおすすめ本が平積みされていた。
わたしの本、あるかな……。
さがしたけど、見つからなくてがっかりしてたら
蓼内さんが、「山本さん、ここ、ここ」と教えてくれた。
musasikosugi
あった~。「先生、しゅくだいわすれました」
2冊しか残ってなかったから、スルーしてた。
反対側に末吉先生の「にじ色ドラゴン」もあった。

家に帰ると、末吉暁子先生の新刊が届いていた。
フレーベル館創業110年記念企画「世界名作シリーズ ひきだしの中の名作」の一冊として出された新装版。
「おおかみとしちひきのこやぎ」
sichihikinokoyagi
イラストは猫野ぺすかさん。
末吉先生は、最近「かいじゅうになった女の子」「黒バラさんと七つの魔法」の中国語版が出たそうだ。
亡くなって二年が過ぎたけれど、未だ健在だ。
わたしもがんばらないとな。

ほしのともだち ぴりん

押川理佐「ほしのともだち ぴりん」(世界文化社)を読んだ。
pirin
七夕の夜、しゅうくんは願い事を変更しようと短冊を引っ張る。
すると、いっしょに星の子が落ちてくる。
天の川で短冊釣りをしていたのに、引っ張られてしまったのだ。
元の場所に戻るには、
たらいの水に天の川を映してのぞきこめばいい。
ところが、雨が降ってきて……。

これは、建礼門院右京大夫という人の読んだ
「きかばやな二つの星の物語 たらひの水に映らましかば」という歌にちなんでいるらしい。
平安時代には、たらいの水に星空を映してながめる習慣があったのだそうだ。
でも、おっこちてきたぴりんは、
現代の星の子らしく、元気で明るく、現実的だ。
「魔法が使えるようになりたい」なんて願いには「自分で努力しろ」
あげくのはて、しゅうくんのベッドに寝転んでおやつを食べる始末。

かわいいお話には、ぴったりのかわいい絵がついている。
イラストレーターは、一條めぐみさん。

市販されているのではなく、「おはなしワンダー」という
保育園などで配布される形の絵本。
七夕の短冊といっしょに家に持ち帰る保育園児の姿が目にうかぶ。

押川さんは、現在、NHK「ざわざわ森のがんこちゃん」や「えいごでがんこちゃん」の脚本を手がけている。

押川理佐さんの所属する同人誌「泳げ!」27号も出た。
oyoge27
こちらは、児童文学に限らず
歴史小説、旅行記、書評など自由に展開している。
読んでみたいなと思われる方はこちら。
およぶろ
メールフォームに御連絡を。

さよなら、田中さん

鈴木るりか「さよなら、田中さん」(小学館)を読んだ。
sayonaratanakasan
小学校6年生の田中花実。母親と二人で暮らしている。
父親は、亡くなったと聞いているが、かなり怪しい。
もしかしたら犯罪者なのでは? と花実は思っている。
お母さんは、男の人たちに混ざって、工事現場で働いている。
痩せているくせにものすごくよく食べ、落ちているものですら拾って食べてしまう。
工事現場は「いいお金になる」という割に、いつも貧乏で、食品は激安スーパーで、半額になったものを、さらに値引きしてもらう。
とにかく貧乏ではあるけれど、花実は、金持ちの家をうらやむでもなく、自分を卑下することもなく
明るく楽しく生きている。

かなり前から話題になっていた本だ。
作者は現中学3年。
でも、お話を書いたのは、小学生の頃。
「12歳の文学賞」というコンクールで、4年生から連続3回も大賞を取って
その作品を元に作った本だという。
テレビでCMもバンバンやってて
だからこそ、「うさんくさい」と思ってた。
たいしておもしろくないのに、「中学生作家」ということをネタにして売ってるんじゃないか。
あまりもてはやされているから、ちょっとひがんでたのかも。

けど、読んでみて、びっくりした。
衝撃的だ。
なんだ、このうまさは。
これが、小学生(今は中学生だけど)の文章か?

とにかく文がうまい。
表現が適切だ。語彙が豊富。
ユーモアもある。
現役の子どもだから、こどもの心情がリアルだ。
そして、子どもから見た大人の描写の見事なこと。

そして、ところどころにキラリと光るお母さんの名言。
るりかさん、あなたはどうしてこんなセリフを知ってるの?
どうして、こんなこと、思いついたの?


作者の年齢は、もうどうでもいい。
普通に作家として見事だ。

感動したので、同人仲間にメールで
「『さよなら、田中さん』、読んで」って伝えてしまった。

これは、その昔、MOEでデビュー前の佐藤多佳子さんの「サマータイム」を読んだときに匹敵する感動。

百物語②不気味のとびら

昨年秋、怖い話の依頼が立てつづけに来たときの作品の一つ。
「5分ごとにひらく恐怖のとびら 百物語②不気味のとびら」(文溪堂)ができてきた。
hyakumonogatari
1巻が既に出ていて、そちらに1話目から20話まで載っている。
この巻は21話から40話。
書き手は、緑川聖司、後藤みわこ、野村一秋、高田桂子他。
わたしは、28話目「手のひらの中の秘密」
友だちにそそのかされて、軽い気持ちで万引きをしてしまった女の子の話だ。

他の人の話は、本になって初めて読んだのだが
これが、思いのほか、怖い。
わたしは、怖いテレビ番組を見たり、怖い話を読んだりすると
後頭部が痛くなるのだけど、
今、めちゃ、痛い。

このお話は、わたしのこれまでの作品の中で最短で、
なんと、原稿用紙5枚。
依頼をいただいたとき
「絶対、ムリ……」
と思った。
5枚なんて、あらすじにもなんないじゃん。
長くするのは、いくらでもだいじょうぶ。
この前も、もともと15枚だった原稿を、50枚に加筆修正したのだけど
ぜ~んぜん、苦しくなかった。
でも短いのはなあ……。

5枚かぁ……と頭を抱えながら、とりあえず書いたら20枚。
お話にならない。
何度も書き直して、というか
削って、削って、削って、
血を流しそうな勢いで削って5枚におさめた。
山本悦子の涙ぐまし努力を感じていただけたら、幸いです。

講演会のお知らせ

8月4日(土) 小牧市立図書館で講演会を行います。


 児童文学作家 山本悦子さんによる「作家が語る 児童文学の世界」

 日時  8月4日(土)10時30分~12時

 場所  小牧市立図書館1階視聴覚室

 対象  小学4年生以上 

 参加費無料  

 くわしくは、こちらをどうぞ 小牧市HP

 お近くの方、どうぞいらしてください。


 また、8月18日には、碧南市文化会館で講演会を行います。


「心を見つめる~児童文学のススメ」

日時   8月18日(土) 13時~14時45分

場所   碧南市文化会館 3階大会議室

対象   碧南市の保護者並びに教育関係者

こちらは、碧南市の小中学校の保護者か教育関係者のみになっています
既にチラシは配布されていますが、「どうしよっかなあ」と迷っておられる方、是非、おいでください。
プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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