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しずかな魔女

市川朔久子「しずかな魔女」(岩崎書店)を読んだ。
sizukanamajo
草子は、学校に行く代わりに毎日図書館に通っている。
学校でいじめられたとか、辛いことがあったとか
何か決定的なことがあったわけではないのだが
学校に行くとひどく疲れてしまう。
息苦しくなってくるのだ。
それでも、図書館も決して居心地がいいわけではない。
無遠慮な視線にさらされたり、親切めかしたおばさんから話しかけられたり。
そんなとき、さりげなく助けてくれた司書の深津さんは、
自分の思いをうまく話せない草子に
「しずかな子は、魔女に向いている」と教えてくれる。
数日後、草子は、深津さんから預かったという紙の束を図書館で受け取る。
それは、「しずかな魔女」とタイトルがつけられた物語だった。

物語の中で読む物語。
この挿入話が、この本の大部分を占める。
中で語られるのは
引っ込み思案な野枝と、元気で活発なひかりの
まぶしい夏の物語だ。
野枝は、草子と同じで
自分の思いをうまく口に出せない子どもだ。
そんな野枝に、ひかりは教えてくれるのだ。
「しずかな子は、魔女に向いている」と。

教員時代、
「素早く自分の意見をいう子」「声の大きい子」が
クラスを動かしていく場面に何度も遭遇した。
おとなしい子たちが、長い時間をかけて
ようやく口にした思いは
「大きな声の子たち」につぶされて、かき消されてしまう。
静かな子たちにとって、
学校というのはさぞかし生きづらい場所なのだろう。

野枝や草子のように、
生きづらさを感じている子に、
是非読んでもらいたい。


それにしても、市川朔久子という作家は
少女の心の内を
どうしてこんなにもうまく書き留められるのだろう。
この人もまた
よく見て、よく考え、
思いを胸の中であたため、ふくらませる「魔女」修行をしてきた
そんな少女だったのだろう。
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森のあかちゃん

コゼッタ・ザノッティ文 ルチア・スクデーリ絵 佐藤まどか訳「森のあかちゃん」(BL出版)を読んだ。
morinoakachan
ある夜、光が舞い降りてきて
熊の夫婦の元に赤ちゃんを連れてくる。
でも、そのあかちゃんは熊でなく、魚。
鉢の中に入っている。
夫婦は喜んで名前を決める。
お祝いを言いに来た森のみんなは、少し不思議そう。
熊の夫婦は、赤ちゃんのために大きな決心をする。

イタリア在住の作家、佐藤まどか翻訳の絵本だ。

この物語が生まれた背景には、
難病の息子さんを育てている夫婦の存在がある。
息子さんの病気はアラン・ハーンドン・ダドリー症候群(AHDS)という脳の病気だ。
世界でも200人ほどで、大変まれな病気だそうだ。
多くの子どもは障害寝たきりになってしまう。

魚の子どもをありのままに受け止めようとする熊夫婦に
すべての子どもが
このように受け入れら、愛されるべきだと気づかされる。
変わるのは、彼らではなくて、わたしたちだと。

まどかさん、いい仕事してるなあ。かっこいいなあ。



Twitterでもお知らせしましたが
6月30日より
日曜版しんぶん赤旗で、沢音千尋さんの連載マンガ「夜間中学へようこそ」」がスタートします。
原作は、拙作「夜間中学へようこそ」(岩崎書店)。
どんなふうになるのか、楽しみ

お知らせ諸々

なかなかブログを書く時間がとれませんが
とりあえず、お知らせをいろいろ。

まず「二年二組のたからばこ」(童心社)が
全国学校図書館協議会選定の緑陰図書・低学年の部に選ばれました。
緑陰図書
それから「先生、しゅくだいわすれました」が18刷になりました。
18zuri
発行部数、自己新記録更新です。

そうそう、それと名古屋ゲートタワーにある三省堂書店名古屋本店さんに
色紙を飾っていただいています。
sanseidouhonten
わたしの本の表紙を風船にして貼ってみました。

それとまだまだ先ですが
今年は同人誌フェスタで、講演会を行います。

☆第六回児童文学同人誌フェスタ☆
日時 2019年12月1日(日) 午後2:00~午後5:30
受付 ブース設営の同人誌 午後1:00~ 講演会参加 午後1:30~
場所 ラッセホール5F会議室         (650-0004 神戸市中央区中山手通4-10-8)
 
 第一部 山本悦子氏講演会「わたしが作家と名乗るまで~同人誌「ももたろう」と歩いた25年」
        午後2:00~3:15 (定員100名


みなさま、よろしくお願いします。

ブックトークのお知らせ

7月15日(火・海の日)に、らくだ書店本店さんでブックトークを行います。
booktalk
小学生の親子さん限定なので
限られた方々だけの告知ですが……。
よろしければお越しください。
感想文を念頭においたブックトークです。
わたしの本だけでなく
他の作者の本もたくさん紹介します。


もう一つお知らせ。
6月1日から「新美南吉童話賞」の募集がはじまりました。
今年から、選考委員をさせていただきます。
よろしかったら、ご応募ください。
詳しくは、新美南吉記念館HPで。
新美南吉記念館

「新美南吉童話賞」の選考委員は
病気が悪化するまでずっと末吉暁子先生が務めていた。
その仕事を引き継ぐことができて
本当にうれしい
みなさま、どうぞご応募ください。

鬼ヶ島通信70+2号

毎日バタバタしていて、なかなかブログが書けなかった。
本も読めてない(T_T)

てことで、いろいろまとめて。
まず、「鬼ヶ島通信70+2」号の紹介。
onigasima702
「ボーダレス(仮)」の連載2回目を載せてもらった。
死んだはずのおばあちゃんの飼い犬の豆蔵のリードを持ったとたん
豆蔵の姿が見えるようになった海斗。
生と死のボーダーラインがない、ボーダレスになったのだ。
でも、豆蔵がいるときだけなので(仮)
今回は、高校時代に交通事故で亡くなった同級生を見つける。

今回は幼年童話の特集。
あまんきみこさんとやえがしなおこさんの対談も載っている。

「二年二組のたからばこ」(童心社)が
takarabako200
「AERAwithKids」2019夏号
新婦人新聞 2019年5月30日
「子どもの本棚」5月号
で紹介されました。ありがとうございます。

「静岡県なつやすみ読書感想画コンクール」小学校低学年の部の指定図書に
「おかわりへの道」(PHP研究所)が選ばれました。
okawarihenomichi

まだ、お知らせがいろいろあるけど
ぼちぼちいきます。

6月8日(土)は、中学校の同窓会(こちらでは同年会という)だった。
2年毎にやっている。
ほとんどの子が、幼稚園~中学校まで同じ。
会ったとたんに、みんな、こどもに返ってしまう感じで、
くだらない話ばっかりしてて、ずっと笑ってた。
でも、もう孫がいる友人がちらほらいて
そんな年なんだなあ……としみじみ思った。

ももたろう懇親会

先週の金曜日(5月31日)は、ももたろうの懇親会だった。
毎年、鬼ヶ島通信の編集委員の方々や
ももたろうがお世話になっている方々に声をおかけするのだが、
50号の記念ということで、読者さんもお誘いした。
ただ、読者の方も遠方の方が多く、
また夜の会でもあるので、お目もじがかなわない方が多かった。
そんな中、創刊号からのお付き合いのNさんが来てくださった。
わざわざ群馬から新幹線に乗って!
もうそれだけで感激だ。
おいしいご当地ラスクまでおみやげにいただいた。
(これがまた、本当においしかった!)

参加者全員に、お話をしていただいた。
どの方も長いおつきあいなので
一言一言が胸にしみた。
「これからもずっと見守っていますから」といってくださった方もいて
誰かが見ていてくれるって幸せだなと思った。

ももたろうは、25年もの間
たくさんの人たちに見守られてきたんだな。
だから、続けてこられたんだ。

12号からももたろうの編集・印刷をお願いしている
サンタポストさんと緑陽社さんから
素敵な贈り物もいただいた。
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ブックカバーとキーホルダー。
ブックカバーは、もものマークが入っている。
キーホルダーの絵は、創刊号から表紙絵を担当してくださっている松田志津子さん。

夜は、いつものごとく、同人仲間で作家の蓼内明子さんのお宅に泊めてもらった。
もう、ここはわたしの実家!(と勝手に思っている)
あり得ないほどリラックスし
そこからまた、二人でビールを飲ながらおしゃべり。
次の原稿のことや、最近読んだ本の話や、家族の話や、最近思うことや……。
ネタが尽きない。
夜中の3時になって
「そろそろ寝ないとマズイ」って寝た。
こうして夜中までしゃべってられるって、意外に若いのかも、わたしたち。
でも、こういうのも幸せだなあ。

プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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