星の子
2017.11.18(Sat)
今村夏子「星の子」(朝日新聞出版)を読んだ。
中学3年のちひろは、赤んぼうの頃、極端に体が弱かった。父親の知り合いが「それは水が悪い」といい、「特別な水」をくれる。それで体をふくと、ちひろの症状がみるみるよくなった。これをきっかけに、両親はその水を販売している新興宗教へとはまっていく。気づけば、父親は仕事を辞め、母親は身の回りを構わなくなっている。二人はおそろいの緑色のジャージを着て、頭の上には常に水をひたしたタオルを乗せている。姉のまさみは、そんな家庭に嫌気がさし家出し、行方知れずに。でも、ちひろ自身は、あっけらかんとしている。「あそこの家のことつきあってはダメ」といわれ、学校で浮いていても、貧乏で家がどんどん小さくなっていっても、修学旅行に行けないかもという不安があっても、それを悩んではいない。なにも不満に思ってはいないのだ。両親と一緒に、宗教の研修会にもいくし、なじんでいる。お話の中に、みんなの憧れの存在のお兄さんとお姉さんが「だまして水晶を売った」「女の人から訴えられているらしい」とかいう会話が出てきても、研修旅行先の建物の一つが「集団リンチがあってから閉鎖されている」なんていううわさを聞いても、さらりとスルーしている。
親子の中は非常によくて、両親ともちひろを大切に思っている。他人から見れば奇異に映るであろう両親をちひろも愛している。
最後の場面で、親子が寒い中体を寄せ合い流れ星を見るシーン。
いつまでたっても三人が同時に流れ星を見られない。
流れ星なんて一つも流れていないんじゃないかと思った。
全部錯覚なんじゃないの?
野間文芸新人賞の記者会見を見ていて、興味を持ったので読んでみた。
とても読みやすかった。
そして面白かった。でも、なぜだろう。後味が悪い。
作者は、新興宗教を崇めていないし、否定もしていない。
そういうところが微塵もない。
淡々と、まるで主人公ちひろそのもののように
起こったことを書いているだけだ。
記者会見のとき、新人賞のみ、その場で選考経過などが報告された。
選考委員のかたが
「このお話のあらすじをいえる人はいないんじゃないか」とおっしゃっていた。
なるほどなと思った。
ストーリーにそれ程起伏はないし、事件というほどの事件も起こらない。
なんだろう。不思議な世界。
一気に読んだ。
作者の今村さん自身、とても不思議な雰囲気の人だった。
個人的に会話は全く交わしていないけれど
贈呈式のときに、控え室で声をかけることができたら
お話をしてみたい。
中学3年のちひろは、赤んぼうの頃、極端に体が弱かった。父親の知り合いが「それは水が悪い」といい、「特別な水」をくれる。それで体をふくと、ちひろの症状がみるみるよくなった。これをきっかけに、両親はその水を販売している新興宗教へとはまっていく。気づけば、父親は仕事を辞め、母親は身の回りを構わなくなっている。二人はおそろいの緑色のジャージを着て、頭の上には常に水をひたしたタオルを乗せている。姉のまさみは、そんな家庭に嫌気がさし家出し、行方知れずに。でも、ちひろ自身は、あっけらかんとしている。「あそこの家のことつきあってはダメ」といわれ、学校で浮いていても、貧乏で家がどんどん小さくなっていっても、修学旅行に行けないかもという不安があっても、それを悩んではいない。なにも不満に思ってはいないのだ。両親と一緒に、宗教の研修会にもいくし、なじんでいる。お話の中に、みんなの憧れの存在のお兄さんとお姉さんが「だまして水晶を売った」「女の人から訴えられているらしい」とかいう会話が出てきても、研修旅行先の建物の一つが「集団リンチがあってから閉鎖されている」なんていううわさを聞いても、さらりとスルーしている。
親子の中は非常によくて、両親ともちひろを大切に思っている。他人から見れば奇異に映るであろう両親をちひろも愛している。
最後の場面で、親子が寒い中体を寄せ合い流れ星を見るシーン。
いつまでたっても三人が同時に流れ星を見られない。
流れ星なんて一つも流れていないんじゃないかと思った。
全部錯覚なんじゃないの?
野間文芸新人賞の記者会見を見ていて、興味を持ったので読んでみた。
とても読みやすかった。
そして面白かった。でも、なぜだろう。後味が悪い。
作者は、新興宗教を崇めていないし、否定もしていない。
そういうところが微塵もない。
淡々と、まるで主人公ちひろそのもののように
起こったことを書いているだけだ。
記者会見のとき、新人賞のみ、その場で選考経過などが報告された。
選考委員のかたが
「このお話のあらすじをいえる人はいないんじゃないか」とおっしゃっていた。
なるほどなと思った。
ストーリーにそれ程起伏はないし、事件というほどの事件も起こらない。
なんだろう。不思議な世界。
一気に読んだ。
作者の今村さん自身、とても不思議な雰囲気の人だった。
個人的に会話は全く交わしていないけれど
贈呈式のときに、控え室で声をかけることができたら
お話をしてみたい。
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