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わたしの空と五・七・五

森埜こみち「わたしの空と五・七・五」(講談社)を読んだ。
watasinosorato
中一の空良は、クラスの友だちに全くなじめない。
人の話を聞いていろいろ考えてはいるけれど、それを言葉に出せない。
そんな空良が、文芸部に入ることになる。
空良以外の新入部員は一名。
先輩はたった二人。存続の危機に陥っている部活だ。
文芸部の活動は部誌をつくること。
そこに載せるのは小説でも詩でも短歌でも俳句でもいい。
もっと入部希望者を増やすため、文芸の面白さを伝えようと、句会(俳句の披露会)を行うことになる。

人数の少ない部活に入って、コンクールや甲子園を目指すとのかとおもったけれど、
そうではなく、もっと地味な、校内の句会。
甲子園やコンクールを目指すのは、もう既に名作がいくつも出てるので
今さら出しても勝ち目はない。
中学生だし、このくらいの方が現実味がある。正解だ。
俳句の書き方なども書かれていて、興味もをもつ子もいるはずだ。
ただ、二人の先輩たちの句会での講評が、素晴らしすぎて、中学生とは思えなかった。

中学という新しい場所で
自分をどう表現していいかわからず
戸惑う生徒たちが、少しずつ歩き出す様子が爽やかだった。


この作品は「ちゅうでん児童文学賞」というコンクールで入選し、出版された作品。
作者のデビュー作となる。
「ちゅうでん」って、レベルが高いなと思った。
ちなみに、この作者は「蝶の羽ばたき、枯れ葉の音よ」という作品で
日本児童文学者協会の本年度の「長編児童文学新人賞」を受賞している。

「蝶の羽ばたき」で、思いだした。

先週の土曜日の朝、庭に出ていた夫が
「蝶が羽化しはじめてるよ」と教えてくれた。
見に行くと、家の横の木で、アゲハチョウが羽化し始めていた。
頭と体の三分の一くらいが出ている。
二人でじっと見ていたが、なかなか出てこない。
時々体を大きく動かすのだけど、外にでられない。
いったん、その場を離れ、30分ほどしてから見に行ったけど変化なし。
その後、出かけてしまったので、次に見たのは夕方だ。
蝶は、朝見た形のまま、動かなくなっていた。
もしかしたら、超のんびり屋さんかもとおもって、次の朝も見たけど、同じだった。
羽化できなかったんだな。
さなぎのまま、死んでしまう蝶は、けっこういる。
さなぎの中では、体中の気管をすべて変える生死を分けた大改造が行われている。
ついてこられないものもいる。
でも、羽化が始まったら、もう、あと一歩なのだ。
あと少しだったのに。

空を飛びたかったね。

小さな亡骸に話しかける。

庭のキンカンの木の周りには、何匹かのアゲハチョウが飛んでいた。


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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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