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のんちゃんとモンシロチョウ

西村友里「のんちゃんとモンシロチョウ」(PHP研究所)を読んだ。
nonchan
2年2組の生きものがかりの風花、理恵ちゃん、大ちゃん。
大ちゃんが、花壇でモンシロチョウをつかまえる。
教室で飼うことにした。女子二人がエサの担当だ。
風花は、わたにハチミツを水で溶かしたものをしみこませてもっていく。
毎日やっているけれど、モンシロチョウは、どんどん弱っていって、死んでしまう。
すると大ちゃんが、「しんぱいするな、おれが新しいのつかまえてきてやる」
でも、その新しいモンシロチョウも、すぐに死んでしまった。

こどもたちは、生きものを捕まえたがる。
低学年の教室は、いつだって何かいて、ちょっと生臭い。
トカゲ、何かのさなぎ、なにかの幼虫、オタマジャクシ、カナヘビ、カミキリムシ、カブトムシの幼虫、カタツムリ
「先生、飼ってもいい?」
と聞かれて、「せわができるのならいいよ」なんて答えようものなら
あっというまに、ロッカーの上がいっぱいになる。
大抵、世話が仕切れなくて、弱っていくので
「もう逃がしておいで」と説得する。
うっかり死なせてしまったときは、「しまった」と後悔した。

こどもたちは、モンシロチョウは、つかまえた時点でもう満足なので、
その後の世話には興味はない。
蝶の死骸は、それ程生々しくないし、静かに死んでいくので、こどもたちはピンとこない。
一つの命がなくなったなどと思わないし
蝶はとびたかっただろうな、などと想像しない。
死んだら、「じゃあ、新しいのとってくる」といいかねない。
この物語のように。
「もう、ころすの、いやなんだよ」
という風花の言葉は、初めて、他のこどもたちに、
自分たちの行動で一つの命がなくなったという事実を突きつける。

ありふれた教室の風景を、うまく切り取ったお話だなと思った。
おなじ作者の「たっくんのあさがお」(PHP研究所)も
派手さはないが、こどもたちのありのままの様子を描いている。
どちらも、こどもの優しさがしっかりと感じられる。
読み手の成長度合いを意識した作品だなと思う。
PHP研究所の「とっておきのどうわ」は、
幼年童話の王道という感じの読後感のよい
優しくてやわらかな作品が多い。
イラストも、そんな感じだ。

わたしの「おかわりへの道」も同じシリーズだけど
ちょっと毛色がちがう気がする(笑)
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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