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さよなら、田中さん

鈴木るりか「さよなら、田中さん」(小学館)を読んだ。
sayonaratanakasan
小学校6年生の田中花実。母親と二人で暮らしている。
父親は、亡くなったと聞いているが、かなり怪しい。
もしかしたら犯罪者なのでは? と花実は思っている。
お母さんは、男の人たちに混ざって、工事現場で働いている。
痩せているくせにものすごくよく食べ、落ちているものですら拾って食べてしまう。
工事現場は「いいお金になる」という割に、いつも貧乏で、食品は激安スーパーで、半額になったものを、さらに値引きしてもらう。
とにかく貧乏ではあるけれど、花実は、金持ちの家をうらやむでもなく、自分を卑下することもなく
明るく楽しく生きている。

かなり前から話題になっていた本だ。
作者は現中学3年。
でも、お話を書いたのは、小学生の頃。
「12歳の文学賞」というコンクールで、4年生から連続3回も大賞を取って
その作品を元に作った本だという。
テレビでCMもバンバンやってて
だからこそ、「うさんくさい」と思ってた。
たいしておもしろくないのに、「中学生作家」ということをネタにして売ってるんじゃないか。
あまりもてはやされているから、ちょっとひがんでたのかも。

けど、読んでみて、びっくりした。
衝撃的だ。
なんだ、このうまさは。
これが、小学生(今は中学生だけど)の文章か?

とにかく文がうまい。
表現が適切だ。語彙が豊富。
ユーモアもある。
現役の子どもだから、こどもの心情がリアルだ。
そして、子どもから見た大人の描写の見事なこと。

そして、ところどころにキラリと光るお母さんの名言。
るりかさん、あなたはどうしてこんなセリフを知ってるの?
どうして、こんなこと、思いついたの?


作者の年齢は、もうどうでもいい。
普通に作家として見事だ。

感動したので、同人仲間にメールで
「『さよなら、田中さん』、読んで」って伝えてしまった。

これは、その昔、MOEでデビュー前の佐藤多佳子さんの「サマータイム」を読んだときに匹敵する感動。
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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