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おれからもうひとりのぼくへ

相川郁恵「おれからもうひとりのぼくへ」(岩崎書店)を読んだ。
orekara
親友の翔平とまさととの約束した公園に
自転車を飛ばしていたおれ。
そこにおれとそっくりな男の子が乗った自転車があわられ、正面衝突しそうになる。
でも、次の瞬間は、自転車は消えている。
何が起こったかわからないまま公園に行くと、翔平もまさともいない。
家にもどると、母さんの髪型も話し方も変わっていた。
部屋には大事に貼ってあったポスターがなくなり、本棚にはぎっしりと本がならんでいる。
似ているけど、どこか違う世界。
自転車がぶつかった瞬間、おれは、別の世界に来ていたんだ。

第34回福島正美記念SF童話賞大賞受賞作品。
作者のデビュー作になる。

別の世界に来てしまったおれは
自分の世界にいる友だちと、今目の前にいる友だちの違いに戸惑う。
クラスメイトも、もとの世界と性格が違い、
比較しては「向こうの方がよかったのに」と感じるのだが
徐々に、むこうの世界とはちがうけれど、こちらの仲間たちも
なかなかいいんじゃないかと思いはじめる。
いじめっ子と思っていた子が、実は純粋でいいやつだったり
よそよそしく感じていた子が、親身になってくれたり。
最後に「きっと、ぼくたちは、どこの世界に行っても親友になるんだよ」といってくれる場面はじんとした。

パラレルワールドものは、よくありそうなのだけど
書いてみると意外にむずかしい。
大抵は、矛盾が出てきてしまったり、
物語が破綻してしまったり。
これは、最後までひっかかるところなく、おもしろく読めた。

また、佐藤真紀子さんのイラストが
物語を大きく引き立てていた。
物語を必要以上に甘くしたり、幼くしたりすることなく
四年生の男子を等身大に描いている。

やっぱりいいなあ。佐藤さんの絵は。
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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