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死にたい、ですか

村上しいこ「死にたい、ですか」(小学館)を読んだ。
sinitaidesuka
いじめが原因で兄が自殺して以来
由愛の家は変わってしまった。
母親は、いじめた少年たちから謝罪の言葉が聞きたいと裁判を起こし
終始、兄のことしか考えていない。
父親は、アルコール中毒になっている。
バラバラの家の中で、由愛は、孤独に耐えている。
兄をいじめた生徒の一人は、
中学時代兄と仲のよかった翔で
由愛の初恋の相手でもある。
この裁判を追う新聞記者・要は
この家族と自分の生い立ちを重ねていた。


児童文学作家村上しいこの初めての一般文学。
今までのしいこ作品と全くちがう。
とても深刻で、人間の深い闇を見つめている。

裁判の場面は、本当に腹立たしく、悲しかった。
緊迫した裁判の様子は
とてもフィクションとは思えない。
そして、カウンセリングの場面では
次々に現れる専門的な見解に驚いた。
どれほど念入りに下調べし、取材を重ねてきたのだろうかと思った。

すごいと思った。
「こんとんじいちゃんの庭」あたりから、すこし、見つめるものが変わってきてると思ったのだが
一気に突き抜けた。
作者の覚悟が感じられる作品だった。
村上しいこは、どんどん殻を破っていく。
どこを目指していくのだろう。

つらい作品ではあったが
最後は希望の光が差し込んでくる。
そこだけは、今までのしいこ作品と同じだった。
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コメント

No title

「死にたい、ですか」を読んで下さってありがとうございます。
裁判所へ何度も足を運び、さまざまな事件を身近で感じることができました。
カウンセリングに関してはある先生にいろいろとお話しを聞く機会を頂きました。
仕事柄、個人名など公にできないのは残念ですが、取材を通して不条理な現実をたくさん目の当たりにし、そうした作品もまた書きたいと思っています。

Re: No title

何度も、裁判所に足をはこんだんですか。すごいなあ。
あんなにたくさん原稿を書いて、いろいろなところを訪問し、
そんな状態でどうやって裁判所に通う時間が作れたんでしょう。

小説は、もちろん素晴らしかったです。
でも、わたしは、その裏に垣間見える努力に感動します。
今いる場所で満足することなく、
さらに前進しようとする作家村上しい子。
すごいです!
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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