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君だけのシネマ

高田由起子「君だけのシネマ」(PHP研究所)を読んだ。
kimidakeno
母に言われるままうけた中学受験に失敗し、地元の中学校に入学したものの、友だちとの溝を埋めることが出来ず、不登校になってしまった史織。
過干渉の母親の母親から逃れるために、小学校の教員の父親と、祖母の住む佐渡に引っ越す。
祖母は、自宅を改造し、ちいさな映画館「風のシネマ」を作ろうとしていた。
その手伝いを通して親しくなった瑛太と一花、佐渡の人々とのふれあいを通し
史織は、自分の居場所を見つけ出す。

母親の呪縛からなかなか逃れることの出来ない史織が、痛々しかった。
ここに出てくる母親は、かなり極端ではあるけれど
母親というのは、多かれ少なかれ
子どもを、自分の思い通りにしたいという欲求を持っているのだと思う。
10ヶ月間、身のうちにいた我が子を
ややもすると自分の一部のように錯覚をしてしまうのかもしれない。
大抵の親は、すぐに子どもは思い通りにならないものだと気づき
自分とは別の人格であるのだと理解するのだが
史織のように素直に思いのままになる子だと、錯覚してしまうのかもしれない。
そうなると、親も子も離れるのは至難の業なのだろう。
史織のように、母親と分かれて暮らすという力業にでるしかない。
自分を取り戻そうと、必死に踏ん張る史織に
気がつくと、「がんばれ」と声援を送っていた。

瑛太、一花が本当に素敵な子だった。
ちょっと意地悪かなと思ったクラスメイトまでいい子だった。
祖母を筆頭に、佐渡のおとなたちもとても温かく、優しかった。
佐渡に行って、佐渡の人たちに会いたくなった。

この本は、作者にとって3冊目の本であるけれど
これが出て間もなく4冊目「ビター・ステップ」(ポプラ社)も出ている。
今、ノってる作家だ。


余談になるが、「風のシネマ」の最初の映画が「人生フルーツ」だったことに驚いた。
「人生フルーツ」は、愛知県にすむ老夫婦のドキュメンタリーで
わたしは、地域でのみ見られているものだと思っていた。
全国版だったのね。
いい映画なので、機会があったら見てほしい。
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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