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右手にミミズク

蓼内明子「右手にミミズク」(フレーベル館)を読んだ。
migitenimimizuku
6年生のタケルには、みんなに内緒にしている弱点がある。
それは、右と左がとっさに判断できないこと。
そんなタケルの右手に、転校生の実里がミミズクの絵を描いてくれる。
この実里は、クラスの中では孤高の存在だ。
歩くのがあまりに速いので「なんでそんなに速いの?」と聞かれ
「足に聞いて」なんて返しちゃうような子。
そんな実里は、どうもアパートを探して不動産屋さんに行ったらしい。なぜ……?

横暴な父親と、それに耐えきれず心が壊れそうになっている母親の間にはさまれ
必死にふんばっている実里が、せつなく、いじらしい。
そして、それを気遣うタケルのなんと頼もしいこと。

なんといっても登場人物がいい。
主人公のタケル、実里はもちろん、
タケルの友人、コウとソウシがいかにも6年生のお馬鹿さん加減を残しつつ
生き生きと、魅力的だ。
そして、タケルのじいちゃん!
麻雀を確率と中国語の練習といいはり
真っ赤なスポーツカーを乗りこなし、
「じじいのネットワーク、なめんな」と豪語する。
実にキャラクター設定がうまい。

実里の書いたミミズクが、いつのまにかクラスの守護神的な役割になり
クラス全体がまとまっていく筋書きも秀逸だ。

などと、あまりほめると「身内びいき」といわれそう。
そう、作者蓼内明子は、「ももたろう」の同人仲間なのだ。
この作品がデビュー作になる。
実は、勉強会や「ももたろう」掲載時にこのお話読んでいる。
勉強会のときも、そのあとも、結構、厳しい意見をぶつけた気がする。
でも、「フレーベル館ものがたり新人賞」に応募し、最優秀賞をもらった原稿は読んでいなかった。
本になることが決まってからも、かなり直しているとは聞いていた。
さあ、どうなった? ドキドキして手に取ったが、
読みながら、胸が熱くなった。
頑張ったなぁ。
蓼内さんの底力を感じた。
いい作品だと思う。
仲間だから甘く見てるんじゃなくて、心から思う。

ああ、またすごいライバルが出てきてしまった。
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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