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ビターステップ

高田由紀子「ビターステップ」(ポプラ社)を読んだ。
beterstep
大阪に住んでいたおばあちゃんが病気で倒れて、体が不自由になったため
あかりの家で一緒に暮らすことになった。
元気なころは、明るくて、おしゃれで、自慢のおばあちゃんだったのに
鬼ババみたいになっていた。
病気の後遺症のせいで、気持ちが安定しないのだとママはいう。
でも、ママに「お金を盗んだ!」なんていうおばちゃんに、あかりは怒りさえわいてくる。

物語の序盤、足が不自由なおばあちゃんは、夜、一人でトイレに行こうとして失敗し、廊下で漏らしてしまう。
おろおろするママと「もういやや」「あかりは、あっちに行っとき!」と大声を出すおばあちゃん。
あかりは、その姿に衝撃を受ける。
このお話では、おばあちゃんが失禁してしまう場面が二度出てくる。
介護の話にトイレの問題は、避けて通れない。

わたしは、車椅子の友人を、何度かランチに連れて行ったことがあるが
彼女を外に連れ出すときの一番の気がかりはトイレだった。
トイレ問題は、人間の尊厳に関わるのだ。
自力でトイレに行けないとき
失敗してしまったとき、
本人の動揺は、はかりしれない。
数々ある介護での躓きに、トイレの話を持ってきた作者は
随所にきれい事ではない、現実的なエピソードを盛り込んでいる。
ママも、『理解のあるいい嫁』でない本音の部分をさらけ出しているし
同級生の藤井もしかりだ。
だから、物語が嘘くさくない。
つまずきながら、悩みながら、すこしずつ新しい家族の形を作っていく姿に好感が持てた。
ラストのおばあちゃんの決心も、リアルでいい。

少し前に中日新聞で「ヤングケアラー」(18歳未満の介護者)の連載がされていて、興味深く読んだ。
この物語は、そこまでではないけれど
これからは、児童文学の世界も介護の問題を扱ったものが増えてくるかもしれない。
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プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

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