FC2ブログ

いいたいことがあります

魚住直子「いいたいことがあります」(偕成社)を読んだ。
iitaikotoga
6年生の陽菜子は、中学受験を目指し塾に通っている。
自分の意思でというわけではなく、お母さんが決めたのだ。
『洗濯物の片付け』『お皿洗い』も陽菜子の仕事だ。
中学生のお兄ちゃんは、なにもしなくていいのに……。
お母さんは、子どものころ、ほとんどの家事をしていたらしい。
それなのに、成績優秀だった。
だから、陽菜子にもそれを求めてくるのだ。
でも、陽菜子は、塾なんて行きたくないし、家事だってしたくない。
ある日、どうしても友だちと遊びたくて、塾をずる休みしたとき、スージーという不思議な女の子が現れる。

スージーの正体は、現れた時点でなんとなく想像できた。
この本を読むような子なら、多分ほとんどの子がわかってしまうと思う。
それでも、続きを読むのは、陽菜子の思いに共感し、
さて、陽菜子はどうする? と気になるから。
「親は、自分が正しいと思い込んでいる」
「自分の子どもだからわかり合えると信じてる」
「わたしは親に支配されたくない。わたしはわたしの道をいきたい」
これって、この年頃の多くの子が思ってることだ。

一方、お母さんの気持ちは、大人の読者であるわたしにはよくわかる。
あんな親には絶対ならないと思っていたのに、
気がつくと、同じことをしている。
それなのに、それに気づいていなかった。

陽菜子がいった言葉は、かつてお母さんが飲み込んだ言葉だ。
子どもだったお母さんが言えなかった言葉を
陽菜子がいってくれたのだ。

作者の魚住直子さんは、数年間だけ「ももたろう」の同人だった。
入ったときは既に「非・バランス」でデビューしていて、大注目の新人だった。
最初から忙しかったので
作品が出せないときもあったが
あとがきにあたる「きびだんご」がおもしろく、楽しみだった。
「非・バランス」が映画化したときは、盛り上がったっけ。
同人みんなの自慢の仲間だった。
お子さんが生まれ、大忙しになり、ますます作品を出すことが困難になり
「いつも宿題がだせない劣等生」だと語り、退会した。
それでも、自慢の魚住さんであることに変わりはなかったので
彼女の作品は全部読んでいる。
昔と比べると、ずいぶん、丸みを帯びた物語を書くようになったなあと思う。
昔は、触れると手が切れそうな文学だった。

でも、どちらの魚住直子も好きだ。
魚住さんは、今も自慢の仲間だから。
スポンサーサイト

コメント

Secret

プロフィール

yamamoto etsuko

Author:yamamoto etsuko
「神隠しの教室」(童心社)で、第55回野間児童文芸賞受賞。「先生、しゅくだいわすれました」「がっこうかっぱのイケノオイ」「ポケネコにゃんころりん」シリーズ、「テディベア探偵」シリーズ、「夜間中学へようこそ」などの著書を持つ児童文学作家。愛知県半田市在住 児童文学同人誌「ももたろう」同人、日本児童文学者協会会員 JBBY会員
〔家族〕 夫 息子その1(人間) 息子その2(人間)、息子その3ルウ(トイプードル) 息子その4モカ(トイプードル)

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR